エッセイ・NO.1    「ページ開設のご挨拶」
 
  (2007.12.1)

 はじめまして。「筆坊主」の御堂順暁です。 私の『楽々堂のホームページ』にお越しくださり
有り難うございます。

 さて、普通、例えば「わんぱく坊主」といえば「元気な男の子」という意味になりますが、私の
場合、文字通り「筆(を作る)僧侶」になります。小さな山寺の住職をしながら、境内の一隅に
工房を建てて「筆職人」として生活をしています。

      願教寺全景(2002.5 撮影・御堂義乗)   現在は、右端の小屋の場所に工房が建っています。


 よく、「趣味で?」と聞かれることがありますが、兼業とはいえ、この道30年を越えた本物の
筆職人です。自分で「本物」というのもおこがましいですが、趣味や片手間ではないという意味
合いです。 詳しい経歴は【プロフィール】のページをご覧ください。

 「何故職人の道に進んだのか?」 ということも話せば長くなりますが、それは置いといて、
「何故筆を選んだのか?」 についてお話致します。「筆が好きだった」からではありません。
とにかく、先ず職人になろうと決めました。そして、条件を何個か挙げてみた。 ①後継者不
足の業種。②完成品が大きな設備も要らなくて一人で出来ること。③修業するなら超一級の
師匠の元で・・・などです。

 奈良といえば、墨や筆の産地と思われますが、30年以上前、私が弟子入りした時でさえ
「久しぶりに若い者がやりだした」といわれたものです。(まあ、初めから、そういう業界を選ん
だわけですが・・・) その後、後継者が何人育ったでしょう。師匠や、当時居られた筆職人さん
方も(当時でも10人位でしたが)亡くなられたり、引退されています。私も奈良を去りました。
私が修業した『壽山堂』の弟弟子の二人を含めて数える位だと思います。


壽山堂のこと、師匠の筆匠・大田研精師については『壽山堂のホームページ』をご覧ください。
                              【壽山堂】(⇐クリック)

 このページの「エッセイ・NO.1」から、長い文章も気が引けますので、修業時代のあれこれ、
全国の筆の業界のことや後継者問題、更には中国筆のことなど、追々このページで書きます
ので、話を一気に現在に持って来ようと思います。

 独立してから、京都の女房の実家の一隅を借りて『楽々堂』を開きました。といっても、工房
に名前を付けただけで、ほとんど実態のないものでした。1988年(昭63)に故郷の山寺に
帰り(住職となり)、工房を構え、『樂々堂』の看板を掲げました。 自分で作った筆の軸に自分
で『楽々堂』の銘を刻字して、筆の製造直売を本格的に始めました。それから、20年間経った
ことになります。

       
       2007.11.20 工房の前で

 始めの頃は、当地・国東半島在住の工芸仲間と一緒に作品展を開いたりしていましたが、
最近は独自に『筆の個展』をしています。とにかく、「自分の筆は自分で売る」が楽々堂の主義
です。全部の儲けを独り占めにしようというのでは決してありません。(職人と問屋の問題など
については、また書きます)  楽々堂の筆を、作り手の筆職人である私が責任を持ってお渡し
したい。そして、直接に筆の評価を聞きたい。そういう思いを込めてのことです。

 <筆>と<僧侶>の取り合わせが面白いのと、田舎のことゆえ話題が少ないからか、テレビ・新
聞・雑誌などの取材が年間合わせて4~5回位あります。おかげで、大分・国東の山奥に筆職
人が居ることが知られてきました。又、東京で個展を3回開催したこともあって、遠くからのお問
い合わせ・ご注文もあります。

 しかし、直接来堂していただくのには不便だし、個展も間隔が長いので、皆様にはご迷惑をお
掛けしている次第です。「カタログを送って」といわれても対応できず、電話で不十分な説明しか
できませんでした。やはり、ここは、ネット時代の波に乗るべきだと、遅まきながらホームページ
を開設して、楽々堂の筆の情報をお伝えすることにしました。(前から念願していたのですが、
やっと高速ネットに繋がりましたので・・・)

 ホームページを作ると女房に報告したら、「うちは、対面販売が主なので、地図を載せて、その
下にたった一行 <直接お越し下さい> と書いたら、それでいいんじゃない」と、いわれました。
楽々堂の主義が徹底しているのには感心しましたが、多分、私のパソコンの能力では、充分な
ページが出来ないと思ってのことでしょう。折角ですから、息子の力を借りて、情報は精一杯掲
載したいと思います。

 ただ、筆を大量に売りさばく手段として、ネットを使うのではありません。楽々堂のスタンスは守
っていくつもりです。 「何日までに、生徒さん用の筆を100本送って」というような有り難い注文を
受けても、残念ながら、多分対応出来ないと思います。この工房で生産できる以上の注文があっ
た場合、「他の職人さんや中国から筆・穂を仕入れて楽々堂の銘を入れ製品とする」というような
ことは一切しておりません。
 
 お一人お一人が使われる筆を、ここで全て生産された【筆カタログ】の中から選んでいただい
たり、【特注筆】の要望をお聞きしたりして、お互いの信頼関係の中で販売が出来て、筆工房・
楽々堂の筆のご愛用者が全国に広がることを願っています。

 結局、長い文章になってしまいました。お付き合いくださり有り難うございました。
 今後ともよろしくお願いいたします。 どうぞ、また、お越しください。
 
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